■4・SANJI

「すごいわサンジ君!上手ねぇ!」
お酒が回ったのか、ナミさんの上気した頬は薔薇色でよりいっそう可愛らしい。
「お褒めに与り光栄です、レディ♪ もう一曲どう?」
「そうね…」
ナミさんがどうしようかと逡巡したその時、俺とナミさんの間に割って入った奴がいる。
「ダメだ!」

ルフィだ。
「俺以外の奴と踊るな!」
ナミさんの両の肩をがしっと掴み言ってのけた。
「な、ル、アンタ何…」
しどろもどろになったナミさんは一気に耳まで赤くなった。
クソゴムが一丁前に焼き餅だ。
ここだけ一気に気温上昇、周りの空気も生ぬるい。
ウソップとチョッパーはどきまぎして見守ってるし、ロビンちゃんは魅惑的な微笑みを浮かべ、ゾロは面白そうに笑ってるだけだ。
どうやらナミさんに助け船を出すのは俺の役目らしい。

「ったってルフィ、お前踊れんのか?」
「踊れねぇ!」
ナミさんの方を向いたまま、胸を張ってルフィが答える。
やれやれ、仕方ねぇなぁ。
「じゃ、教えてやるよ。先ずは基本のステップからな」
「おぅ! しししっ!」
そう言ってやると、我らがキャプテンはようやっと笑ってくれた。
ガキのおもりも大変だ。

だいたいのステップをたたき込んで(ルフィはなかなかに覚えが早い)、あとはナミさんに任せた。きっとなによりの誕生日プレゼントだろう。
「なぁサンジ、俺もステップ覚えたい!」
若い恋人達(ただし、片方に自覚があるかどうかは相当怪しいが)から少し離れて、マッチを擦りながら座り込んだ俺に声をかけたのはチョッパーだ。
あ、俺も俺もとウソップが酒片手にやってくる。
いーけど、俺はスパルタだぞ?


next>>>



back to text