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■3・NAMI

夜は例によって宴会になった。いつもと違うのはBGMがあることだ。戦利品の蓄音機の調子は上々のようで、ウソップはさっきからディスク選びに余念がない。

お酒でちょうど良く上機嫌になった頃、三拍子の曲が流れ始めた。
「お、ワルツだ」
グラスを床においたサンジ君が、私の左手をとる。
「レディ、一緒に踊っていただけませんか?」
まるで騎士のような、その芝居がかった仕草に思わず笑った。
「よろこんで」

サンジ君のダンスはとても上手だった。迷いのないリードでくるくるとまるで蝶のように。対して広くもない甲板を、障害物を上手によけつつよどみないステップで、みんなの間をするするとすり抜ける。自分の体が何倍も軽くなるようだった。
月明かりに金髪が映えて、王子様ってこんな感じかも、と思わせるほどに決まってる。
「おぉー、いいぞ!女たらし!」
「綺麗だなー、ナミ!」
ウソップとチョッパーの囃す声すら遠い。

ふと、ルフィの声が聞こえないのが気になった。いつもなら一番ウルサいのがアイツなのに。
視界の端にチラリと見えた顔は無表情で、なにを考えているか分からなかった。
「ナミさん、踊ってるときは俺だけ見なきゃ」
サンジ君の顔が近づいたと思ったら、おどけた口調で、皆には聞こえないようにそっと言われた。
「そうね、ゴメン」
気が逸れていたのを見抜かれてしまった。サンジ君はこういうあたりとても鋭い。
気を取り直して、きちんとサンジ君を見る。
その表情は優しく暖かく、きちんと一人の男で。いつもこういう顔をしてれば、女の子にもてるだろうに。
まあ、普段あれだけ軟派な態度を取っていながら本命は無骨な剣士だというのだから、ちょうど良いのかも知れないが。
酔っているせいか思考は飛び飛びになり、そんな事を考えてるうちに曲はもうクライマックスだ。

くるくる、くるくる、ワルツと言う名に相応しく何度もターン。
最後の決めポーズでは倒れるかと思うほど大きくのけぞらされて、サンジ君の向こうに無数の星が見える。
まるで自分に降ってくるようだと、いつになくロマンチックな思考になった。


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