■6


それからの日々は、ゾロにとって地獄だったと思う。
サンジに会えば昼も夜もなく身体を開かされ、あられもなく乱れた。
同じ男に優しくされて、悦ぶ自分が信じられなかった。
サンジがそばにいる間はまだいい。別れた後、ひとり自分の痴態を思い出してはいたたまれない。 そして、サンジは無類の女好きだった。
ゾロと一緒にいるときも、馴染みの女に会えば自分から話しかけ、時にはゾロをおきざりにする事さえあった。
サンジが女とキスをするのを、何度目の前で見たか分からない。
初めは意味が分からなかった。
サンジからたばこの匂いに紛れた香水をかぎつける度、はらわたが煮えくり返るような嫉妬を感じた。
嫉妬している自分を心底醜いと思う。思いながらサンジを責めた。時には殴りさえもした。
それでもサンジは悠然と笑って、ゾロを抱いた。
いやだと、女を抱いた腕で俺を抱くなと、そう心は拒絶するのに、身体は反応した。
サンジはいつもゾロがぐずぐずになるまでいじめて、甘やかし、どろどろのぐちゃぐちゃにした。
自分が自分でなくなるようなセックスは、そのたびにゾロを苛んだ。
何度も別れる、と言ったのに、サンジは構わずゾロを訪れる。そして抱く。
そして、毒のように甘い声でささやいた。
「ゾロ、大好きだよ」

ふざけるな、とゾロはそのたび思ったが、心はどうしようもなく喜んだ。
うれしくてうれしくて、誰にでも言っているのだろうと思えばより切ない。
こんなものが恋だなんて、とゾロは思って愕然とした。
その時初めて気づいたのだ。
ゾロは間違いなくサンジに恋をしていた。



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