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ある夜の風景



■ side:S

最初ゾロを見たときにはただ違和感があった。
見たところ、到底誰かに従うような気質の持ち主ではない。これを下につけているルフィとはどういう男なのか。あのガキ臭い、実際行動が須くガキでしかないあの男の下に、なぜコイツが甘んじているのか。
興味を引かれなかったと言えば、嘘になる。
だが、航海を続けるにつれ、その疑問は氷解していった。なにしろ、サンジ自らまでがルフィを船長と認めクルーの一員となってしまったからだ。
あの暖かい巣を出てくるのは相当な勇気がいったが、同時に必然でもあった。ルフィ以外のどんなきっかけも、サンジをあそこから引き離すことはできなかっただろう。ルフィがあのレストランにたどり着いた時点で、サンジの運命は決していたのだ。
似たような事がゾロにもあったかどうだかは知らない。だがまぁ、あの男が下につくのを認めたのだ。何かしらの事件があったには違いないだろう。

かちりとライターを閉め、紫煙を空中に蒔いた。
急ぐ理由があるでもなし、今のところ夜間の航海はしない。だから、薄暗いラウンジに聞こえるのは僅かな波音と、寝息だけだ。隣に眠るゾロの。

…なんだかなぁ。
無防備な寝顔を晒すゾロを見下ろして、サンジは不思議な気持ちになる。
まさか自分が男に惚れるとは。
それだけでも驚天動地の出来事だが、なんと告白はゾロからだ。
だってサンジは言う気なんてさらさらなかった。いつか諦めがつくだろうと、自分の熱が冷めるのを待つつもりだった。
それを許さなかったのがゾロだ。

それこそこのラウンジで、真っ昼間に好きだ、と言われた。
ちょうど昼食後の皿洗いをしていたサンジは驚きに振り返ったまま固まった。よく煙草を落とさなかったものだ。
貴重な水がざあざあと流れっぱなしのまま、その音で沈黙を埋めている。
ゾロの顔は無表情で(最近はそれが緊張してるときの顔だと分かってきた)、でもその目が嘘なんかじゃないと言っていた。
「…そんだけだ。邪魔して悪かった」
「ま、待て待て待て!」
きびすを返そうとしたゾロを、びしょぬれの手で引き留める。
「お、俺も!」
ゾロが怪訝そうな顔をした。分かれよ、バカ!

「俺も、お前が好きだ」
言い直した言葉に、ゾロは心底驚いた顔をして、次の瞬間こっちが恥ずかしくなるような溶けそうな顔で、ゆったりと笑った。
それにつられて赤面した俺も、ずいぶん恥ずかしい顔をしていただろう。

そんなこんなで、今ではエッチまでしちゃう仲な訳で。
人生って、分かんないもんだ。ちょっと前まで、バラティエを出るなんて考えてもいなかったのに。
短くなった煙草をもみ消して、手慰みに横に眠る男の髪をいじる。ふよふよした触感は触っていて飽きがこない。
と、指が緩慢に伸びてきた手に捕まれた。
「悪い、起こした?」
それでも髪をいじる手は止めない。
「いや、…風呂?」
「あぁ、今日はもうはいんねぇよ。明日の朝だな」
言葉足らずな奴を補完して問いに答えると、腰をぐいと引かれて抱き込まれた。じゃあもう寝ろ、とくぐもった声で言われて、胸がじんわり暖かくなる。
そのまま眠ってしまった奴の髪をまたしばらくいじりながら、知らぬ間にサンジも眠りに落ちていた。




■ side:Z

腕に収まったサンジが自分の髪を撫でるのはひどく心地良い。
これが、自分の手に落ちてくるとは思わなかった。
あのレストランで会った時も、まさか仲間になるとは思わなくて(その意味では、あの頃はまだルフィを甘く見ていた)。
これからの道を、例え一時でも共にすると考えたら。
欲しくて欲しくてたまらなくなった。

初めての夜は合意の上だったのに、ほとんど強姦だった。
無理矢理押し入ろうとするゾロをサンジは渾身の力を込めて蹴りつけたし、そのサンジをゾロは殴ってのし掛かった。
たらりと垂れた鼻血とどす黒く変色していく頬に顔をしかめながら、それでも萎えない自分自身に呆れた顔をしたのは、ゾロもサンジも同じだ。
サンジは最後まで抵抗したし、ゾロも根本まで入れたものの痛くて達するどころではなく、むしろあまりの締め付けに萎えてしまった。
そんなに苦労したというのに、ゾロもサンジも次の日また格納庫にしけこんだ。
こりねぇなあ、と言ったサンジにお前もな、と返したのはゾロだ。

最近ではようやく双方コツを掴んできて、ゾロはサンジの中が大好きになった。
なにせ最初あれだけ拒んでいた部位が、今ではきゅうきゅうとゾロを誘い、もっともっとと奥に呼ぶ。どうも、腹側にかなりイイ場所があるようなのだが、そこをいじると必死で抵抗されるため、今のところは見逃してやっているゾロである。今はとにかく拒まれないだけ嬉しい。最初の頃はそれこそちぎれるかと思うほどの力をもっていたそこも、最近ではいい感じに緩んできた。
まあ、そのうち中イキできるまで仕込んでやる、とは思ってる。

さわ、さわ、
先ほどから、髪を一定のリズムで撫でてくるサンジの指がこそばゆい。
サンジはよくこうやって自分の髪を撫でる。そのさわり方はとても柔らかく、暖かく。触られてるのは一部なのに、まるで全身が包まれるような。そうされる度に、負けてるなぁ、と思うのだ。
自分は、こんなさわり方は出来そうにない。サンジだから出来るのだとも思う。

でも、自分もいつかこんな風にサンジをさわりたい。
今はまだ出来ない。まだ、自分の欲が強すぎる。
こんな自分に惚れて、惚れられて、サンジも存外不幸な奴だと思う。
いったん手に入れた今、きっと自分は、どんな場面でもコイツを手放せそうにない。どんな場面でも。
可哀想だとは思うが、諦めてもらうしかないだろう。
だからこそ、こんな風にさわれるサンジがうらやましく、こんな風にさわりたいと思う。
そう、慈しむように。





■ end.
2005/07/28





えーと…。よーするにうちのゾロサンはお互いが好きで好きでたまりません。それにしても、タイトルセンス無いなー自分。

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